朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


「じゃ、これお礼に」
 

と降渡が一枚の紙を差し出した。何の礼だよ。


「お前に接触したいって、依頼された」


「俺? 今は表立って動いてないけど」
 

俺が存在を隠さずに警察に関わっていたのは学生時代だ。


勿論学校側にはおおっぴらには言っていなかったけど、今のように完全に影に徹してはいなかった。


だからむしろ、今の隠れた場所から動いている俺への接触を図るとは一体?


「琉奏から」
 

ばしっ。
 

勢いよく紙を引っ叩いた。


「おい! 拒絶の仕方が小学生だよ!」
 

折線がついてしまった紙を直しながら、降渡は背中を向けた俺に噛み付く。

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