朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「――宮寺」
 

低く響いた呼びかけに、その背中は小さく揺れた。


宮寺が示したのは、《白》だった。


「……本当にお前だったのか」
 

嘆息のような、呆れたような声に一瞬イラッとした。


降渡や吹雪はそうではないらしいが、俺は宮寺の言動がいちいち癇に障るタイプだった。


どうしてかは、わざわざ推察したくもない。


「どういう意味だ」
 

そういう俺は学校での格好から、眼鏡だけを外した姿だった。


《白》へ来るのならば素顔に戻っておいた方がいいのだけど、学校を出てすぐに来なければ間に合わない時間を指定してきた。なんのため?


「……本当に教師やってたんだ、お前」


「学校で殴られそうになったくせにどういう意味だつってだよ」
 

殴りそうになった奴に言われたくない。宮寺に返されて、またイラッとした。


「お前さあ、学校での評判と全然違うんだけど。何それ」

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