朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「……だから何が言いたいんだ、お前は」
こうも持ってまわった言い方をされると、俺の予定も狂う。
さっさと学生時代の誤解を解いておきたいのに――
「お前、今の女に本気なわけ?」
「―――は?」
今の? だからどういう意味……だ?
「いや――俺もまさか見る気なんてなかったし、お前だとも思ってなかったんだけど。この前車ん中でいちゃついてるお前を目撃してしまった。ごめんなさい」
「………」
謝られた。しかも軽く頭を下げられた。
相変わらず誠意の塊みたいな奴だ。
「………見たって、なにを……?」
「そういう話させるの? 恥ずかしいんだけど。……でもはっきり言わないとわかんないんなら言うしかないよな。薄暗かったからはっきりとは見てないから安心しろ。まさかお前が車内で女といちゃついてるとこなんて一瞬信じらんなくてすぐに反転して帰ったから」
車内で、女と、いちゃついて。