朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


「流夜は、そうだよ。口を開けば事態を悪化しかさせてないよ。そんだけお前が他人に無関心ってことなんだけどねー」
 

龍さんコーヒー、と俺への提言はついでのように注文する。


「まー、気を確かに持てよ? 琉奏も誰かまでは気づいてねーし、あいつが藤城に行くのもあと何回かなんだろ? その間気をつけてりゃ大丈夫だろ」


「………そうだけど」
 

それじゃ駄目なんだ。
 

咲桜にきちんと言った。宮寺の誤解は解くと。


宮寺が誤解したままでは、咲桜の立場がない。


だから、咲桜と付き合っているとは言わないまでも、学生時代は降渡と吹雪しか知らなかったことを、ちゃんと話すと。



宮寺は正直すぎる性格ゆえ、隠すことが苦手だ。


限度は見計らいながらだけど、話せることは総て話そうと決めて今日に臨んだのだ。


それが一方的に撃沈されて終わっては意味がない。


「――降渡。一つ、頼みがある」


「ん? それは何? 幼馴染として? それとも探偵として?」
 

龍さんから渡されたカップを傾けて、降渡は愉快そうに唇をあげる。


「両方だ」

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