朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


…………うん。
 

んーっと腕を天上に伸ばす。


「さーて、と。父さんのご飯作らないとー」
 

ここのところは、昼休みは遙音先輩が郵便屋さんをしてくれているから、明日のお弁当の下準備もしておこう。
 

頭を振り切ってハンガーにかかっているエプロンを外していると、携帯電話が鳴った。


「ん? はいはーい」


『咲桜、今いいか?』


「うわっ! は、はいっ!」


『……なんで悲鳴』


「すいません、タイミングがタイミングだったもんで!」
 

ディスプレイを確認せずに反射的に出てしまった。


落ちているときに大すきな流夜くんの声は刺激が強すぎた。


だ、大丈夫かな……このまま喋っても……。耳が爆発しないかな。


『在義さん帰ってるか?』

< 268 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop