朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「わわっ! もー、咲桜も女の子だったんだねー」
「どういう意味かな?」
「可愛いという意味です」
顔を見合わせて、笑い合う。
流夜くんは、私の前では本物でいてくれる。
私は、そんな流夜くんが、すき。
「そういえばさ、特別講義の張り紙、見た?」
「ん? そんなのあったっけ?」
笑満の言葉に首を傾げる。
藤城学園は進学校なので、卒業生を招いての特別講義は頻繁に行われる。
「昼休みに張り出したばっかりみたい。今度は遺伝子研究してる人が来るんだって」
「……楽しそうだね、笑満」
「あたしそういうのすきだから」
……学年主席の頼と、学年トップクラスの成績の笑満。私は成績では二人とは差があった……。
怠惰な頼と違って、笑満は知的好奇心が強い。
「サボったらゆるさないから」
「……はい」
笑満は勉強好きの真面目っ子だった。