朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
級友に心配そうな顔をされたが、構っている余裕のない俺は頼の首根っこ摑んで廊下の隅に引きずった。
「お前な~」
「え? あ、ごめん?」
「わかんねーで謝んな! お前の学習の仕方はタチが悪い!」
「えー」
「黙れ! 宮寺に余計なこと言うんじゃねえ!」
「それたぶんオトが一番余計な言い方してると思うー」
「語尾を伸ばすな!」
「それも流夜くんの教え?」
「二宮さんの教え!」
「二宮……? ああ、在義パパの親友だっけ? あれ? そこってオトとどう繋がるの?」
「それはじんぐ――うっ!」
っと、息が詰まった。
やられた! 嵌められた!
頼が二宮さんのことを知っているかはわからないけど――半ば盗撮じみたことを咲桜にしかけていたらしい頼ならたぶん知っているだろうけど――危うい危うい。
神宮の名前を出すところだったぜ。
「じんぐ、う? んー? あ、神宮先生がどうかしたのか?」