朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
頼の首根っこ摑んで捕獲したまま引きずる態勢の俺。
頼は必死に首が締まる首が締まると俺の腕を叩いてギブギブしているのだけど、一切無視。
あれ、顔色悪くなってきてないか? 級友たち、少しだけ頼の心配に傾いたようだ。
「いや、普通に話しかけるくらいさせてくれよ。古馴染なんだから」
「知り合い以下だ」
不機嫌な顔でばっさり斬って捨てて、憤然と頼をひきずりながら歩いた。
「……相変わらず神宮大すきだなー」
気味悪いこと言うんじゃねえ、と思ったけど、これ以上宮寺に関わっていたらボロを出しそうなので、無視することにした。
「あの、遙音と何かあったんですか……?」
一人が、心配そうに訊いているのが聞こえた。
「うーん。まあ夏島が小学生ぐらいの頃に面識あるんだよ」
思いっきりばやかした返事だったが、俺の過去を知らないみんなは、「そうなんですか」と返して来た。
知られて気のいい話ではないし、誰にも言ったことはない。
宮寺は、「ここにいる間だったらいつでも声かけてね」と残してその場を離れた。
……相変わらず神宮大すきはおめーもだろうが。