朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「んー、まあ。友人、ではないんだけど、顔見知り、かなあ」
宮寺先生はぽつりと返して来た。
「神宮先生が、どうかされたんですか?」
ここまで、そう決める。
自分の技量で、そこまで踏み込んだことを訊いても対応出来ない。
あとは、宮寺先生が言ったことに適当に肯いておこう――
「随分変わったなあ、と思ったり、変わってないなあと思ったりしたんだ。神宮が中学でアメリカ留学する頃に知ったんだけどね」
「そうなんですか」
以前、流夜くんからそれは聞いていた。
今は、知らない風を装うべきだろうか。
「うん。何かの特待生に受かったらしくて。それで向こうで――って、これは言っちゃダメか……」