朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


途中まで饒舌(じょうぜつ)に話してくれたのに、宮寺先生はふつりと言葉を切ってしまった。


たぶん、私事に関わることを言いかけたのだろう。


『在義父さんを通して神宮先生とは知り合い』、という設定の話は結局、宮寺先生にしていないから知らないことだと思っているのだろう。


……この辺りで明かしておくかな?


「――華取さん、神宮のこと、気になる?」


「え? なんでですか?」
 

ドクッと、心臓が一度大きく鳴った。


「いや、今の返しがね? もしかして神宮のこと知ってたんじゃないかなって思って。あ、俺の勝手な見方なんだけど、それで、神宮と親しい仲ってことは……ないよね? ……もし、教師とか生徒とか関係なしに恋愛感情があるなら、あいつだけはやめておいた方がいいよ」


「――――」
 

観察眼。図抜けている。
 

――そんなもの、あるに決まっているじゃない。
 

だって流夜くんは、一生かけてすきでいる人なんだから。

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