朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「あの人だよ。次の講師」
と教えてくれて、そういえば、と思い出す。
笑満が言っていた遺伝子学の専門家、名前は確か、宮寺琉奏(ぐうじ るかな)先生。
「宮寺先生ですよね」
流夜くんと話していた女子たちが、その人に話しかけた。あの人が宮寺先生か。
背丈は流夜よりは少しだけ低いくらいだろうか。
細身で、スタイリッシュな黒ブチフレームの眼鏡をかけている。
「よく知ってるね。はじめまして」
「そりゃもう! 藤城の先輩の中で有名な方ですからっ」
女子生徒は、声に若干興奮が見られる。
へー。私は知らないけれど、そんなに慕われる人なのだろうか。
宮寺先生は女子生徒たちの近く――流夜くんの近くに来て、にっこり笑った。
「久しぶりだな。神ぐ
ガシャンッ――
「あ、すみません手が滑りました。ぶつけてたらいけないので保健室行きましょうか。連れて行ってあげますよ」
「………」
流夜くん……?