朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
俺が宮寺を連れて来たのは手近な空き教室だった。
移動に時間をとられるわけにもいかない。
部活や放課後の教師の動向の基本も把握しているから、誰も近づかないそこにした。
「――で。何、今頃言い訳? なんで」
「別に誤解されたままでも構わなかったんだが、咲桜のことがある以上話さんわけにもいかないかと腹を括った」
「そこまで大事なのかよ……。つーか、今更興味ない。お前が絆先輩を傷つけたって変わらない事実があるだけだ」
「絆にはとっくに話してある。ゆるされてはいないが、お前のような誤解抱いたままではない」
「………何か不愉快」
帰るわ、と宮寺が扉に手をかけたとき、……嫌々ながら声を押し出した。
「俺が吹雪と付き合っている」