朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「―――え、」
「と」
「ちょ――マジな話かそれ」
「噂をばらまかれたんだ……」
「………は?」
宮寺から、威嚇とも気の抜けたともとれる応答があった。
苦々しく言葉を吐き出す。
「俺と吹雪が同い年で、降渡が一つ上なのは知っているだろう」
「――雲居は高校でわざと留年してっから、それ以上は同学年なんだろ?」
「ああ。それで――断った告白のうちの誰かにそんな話を流されてな……。吹雪はあの容姿だから更に誤解招いてな……。ただ単に、あいつらを巻き込みたくなくて、それ以降の告白を断らなくなった、俺にあるのはそれだけだ」