朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


流夜くんといるととてもドキドキするのに、安心感まで広がっていくのはなんでだろう。
 

ずーっと一緒にいたいって、思うから……その先に結婚っていう道が、あるのかな……。
 

一生の約束が。
 

ヴー、と、机の上に放られた流夜くんのスマホが鳴った。


びくりとして離れかけたけど、流夜くんがそれをゆるさない。


「あの、電話……」


「んー」


「お、お仕事関係だったらどうするの」


「ん~、咲桜のがいいな」


「だ、ダメでしょう色々!」
 

なんとか腕を延ばしてスマホを取って流夜くんに押し付ける。


流夜くんはあからさまに舌打ちして受け取った。ちょっと。


「………」
 

そして停止した。


「……ごめん咲桜、無視出来ない筋からの電話だ」


「う、うん?」
 

勿論、まさか自分といるからなんて理由で無視してほしくはない。


大事な用だったらどうする。


流夜くんは空いている腕で私を抱き寄せたまま出た。

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