朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
side笑満
隣で、あたしは呆れながら親友を観察していた。
本当に咲桜って女の子だったんだ……。
小学生のとき転校してからこちら、男らしくてカッコいい咲桜を十分に見て来たから、こんな頬を染めたりする咲桜は初めて見る。
意外ではあるけど、神宮先生相手ならばいい気がする。
頼の言っていたことじゃないけど、咲桜は同性に人気がある。
咲桜がいつも一緒にいるあたしが少しやっかまれるくらいだ。
そのくらい気にしないけど。
咲桜が男子に騒がれていないのは、その容姿の大人しさから、派手に目立つ子ほど注目されていないのもあるけど、『日義の飼い主』という通り名のせいだ。
意味はそのまんま。
……心配、いらなかったかな。
咲桜に彼氏が出来ること、一つだけあたしには心配があったけど、無用だったみたい。
………。
見ているうちに呆れが勝って半眼になってしまった。
若干どころかかなりキレてる先生の、どこに頬を染める要素があるんだ。
……親友だけど、咲桜の恋心はよくわからなかった。