朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
いつもなら名残惜しく通話終了ボタンも押せないのに、咲桜の安全のためを思う今日はすぐに通話を終えた。
「………」
宮司琉奏。俺らと敵対したと言われる同学年。
何らか目的あって講師を引き受けたのか――それともただ、卒業生として戻ってきたのか。
……降渡以上に面倒くさい奴との再会だった。
こんな気持ちの落ちるときは、尚更咲桜に逢いたくなる。
逢って、腕の中に置いて離したくなくなる。
「………」
咲桜が恋人であること、それだけは隠し通さねば。