朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
side遙音
自分の教室で机に腕をついて、冷や汗を流していた。
昼頃通った職員室前の掲示板に張ってあった用紙を見て血の気が引く思いがした。
マジかよ……あいつがここに来んのは当然っちゃ当然なんだけど……神宮のいる今来るなよ……。
その思いしかない。
宮寺琉奏。かつての藤城主席の生徒。俺も面識があった。
「はーるおと。どうしたー、頭抱えて」
様子のおかしい俺に声をかけてきた友人は、明るく背中をバシバシ叩いてきた。
「あー。ちょっとトラブル発生で気落ちしてた」
「え? 何かあったのか?」
「んー……昔の因縁があるんだよなー……」
宮司と――特に、神宮。そして雲居が。
……春芽に話してみるか……。