朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
side咲桜
リビングのテーブルに、だうーんと項垂れていた。
流夜くんに逢えなくなった……。
……やっぱり流夜くんらしいよなあ……。
テーブルにほっぺたを直につけて腕を垂らし、そんなことを考えてみる。
流夜くんが事件に関わる位置にいるからこそ、私は『流夜くん』と出逢えた。
二人でいるときだって、新聞や専門誌らしきもの、パソコンに向かって真剣な瞳をしている。
それが大すきなんだけどなあ……。
神宮先生には見られない凛然としたカッコよさに、何度惚れ直しているか。
同じ空間にいることをゆるされた私の特権。
強い眼差しの流夜くんを見る位置を、独占出来る。その横顔が大すきだった。
……すっごく優しくなるかおだって。