朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
流夜くんが私の部屋に入ったことはなかった。
初めてうちに来た時は扉のとことで話しただけだったし、ここで寝るかと訊いたときはすぐさま却下された。
……来てもらいたいなー……。
もし、流夜くんがまたここを訪れてくれたら、今度は部屋にも来てもらいたい。
そして、流夜くんの存在が幻ではないと、ここにいたという証拠がほしい。
そうしたらきっと、もっと強くなれる。
流夜くんが関わっている仕事は、何より一刻を争うものだ。
例えデートをすっぽかされても、流夜くんが事件に向かうことを選んだことを肯定出来る。応援も出来る。
……でも、だからと言って、淋しさがなくなるわけではないみたいだ。
……今のうちから、慣れておかないと。