朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


「うーん、作ってる間の記憶が朧で……」
 

勝手に手が動いていた。


笑満はにまにまする。


「いじらしいねー。頼、あんたも咲桜のこういうとこ見習いなさい」


「……俺がいじらしくなってもきもいだけな気がする……」


「……うん、ごめん、そうだね」
 

笑満は申し訳なさそうに視線を泳がせた。私も考えてみる。いじらしい頼? ……却下だ。


「笑満ちゃんそこは否定してよ」


「んなっ! ……あ、あんたが笑満ちゃんって言わないでよー」


「やっぱ笑満ちゃん呼び大事なんだー」
 

珍しい。笑満が頼にからかわれている。


頼はどこか楽しそうだ。


……ん? 笑満ちゃん呼び?


「ちょ、頼! まさか遙音先輩に何かしたの⁉ また乗り込んだの⁉」

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