朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


「学内ではね。家の方は、そこまでつけたりはしないだろうからって。今までみたいに頻繁には来れないけど、うちに来てくれるって、昨日言ってた。近づいちゃダメなのは学内だけだって」


「昨日逢えたの?」


「ううん。電話くれた」
 

夜、遅くなってからだったけど、時間を見つけて連絡をくれた。


昼の電話で、盗聴どうのって言っていたから出ていいものかと一瞬迷ったが、指は正直だった。


出ると少し疲れた声の流夜くんが、何度も謝ってきた。


すぐに戻らなければいけないと言って、話したかったことはまたちゃんと時間を作る、宮寺や周囲の人に何を言われても、それは真に受けなくていいと言われた。


そして、逢えないのは学内でだけだから、と。最後の言葉にどれほど自分の心が浮いたか。


浮かれ気分でハイテンションな返事をしてしまったのが今は恥ずかしい……。


疲れている流夜くんは、張っていた気が少し緩んだように「ありがとう」と言った。


ありがとう、はこちらなのに。


「安定でラブラブだねー」


「……そういう言い方しないで」
 

恥ずかしいでしょうが。

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