朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「……あたしは、いつまですきでいられるのかな……」
「遙音先輩を?」
こくり。笑満は肯いた。
「あたしの家族が、遙音くんをどう思ってるのか、とか……全然わかんないから……」
「………」
笑満の家族は夏島の家にあった事件を直接的に知っている。
けれど、遙音先輩の助けにはなれなかった。
笑満は、家族はむしろ先輩の存在を忌避するのではないかと心配している。
……そのために、告白をする決心も至らない。
「そうだね」
隣に座る笑満の頭に手を廻し、軽く抱き寄せた。
「難しいよね」
難しい。恋ごとだけでは収まらないのが、笑満と先輩の世界だ。
「……やっぱ咲桜って笑満の彼氏みてーだな」
「ええっ⁉ 笑満ちゃんって咲桜と付き合ってんの……⁉ ってか、咲桜が二股……⁉」