朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


「そ。中学で寮に入って、卒業して家に戻って――最後の子供が帰ってきたのを見て、祖父さんは眠るように死んだって。老衰らしい」


「そうなんだ……」
 

笑満の声がどこか潤んで聞こえる。しかしすぐに首を傾げた。


「ん? 最後の子供って? 龍生さんと血縁関係あったっけ?」


「あ、じゃなくて。二宮さんの祖父さんって、ワケありな子供を引き取って育てることが多かったんだって。農家だから自給自足出来たらしいし。その引き取った子供たちの中で、あいつと雲居が最後の子供だった。春芽は親兄弟生きてるけど、同郷だからほとんど三人で育ったらしい」


「なんか……すごい人っているんだね……」


「まあ……雲居は反面教師なクソジジイだって言うけど……」
 

ぐすりと目をこする笑満の隣で、先輩がぼそっと言った。

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