朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
side遙音
「……咲桜のたまに見せるカオってなに? えらく怖いときあんだけど」
「……咲桜は色々と平坦じゃない道生きてるんで。処世術で覆わないとああなるの」
「あ、いつもは覆ってるんだ……」
「異様に口悪いのに世話焼きになると、覆ってないときだね」
咲桜の立居振舞にそつがないと思ったら、そういうことか。
咲桜の生まれのことは、俺の出来る範囲でだけど調べてある。
笑満ちゃんから断片的に聞いた話も組み合わせて考えれば、大きな線に繋がる。
少し興味がわいて来た。
ずっと大事だった笑満ちゃんの親友になった子、というだけでは収まらず、笑っているところなんてみたことがなかった神宮を、でれでれにさせている後輩。
「どんなとき素になんの?」
「……流夜くんに遊ばれてるとき?」
マジかよ。
神宮が喜びそうなネタ過ぎて笑いをこらえるのに口元を押さえた。
やべえ、この組み合わせ面白すぎる……っ。
「……遙音くん、咲桜が気になる?」