朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
小さな頃は、いつも遊んでいるご近所の友達だった。
中でも、よく懐いてくれて俺が行く場所にはいつもいた。
事件があって、でも笑満ちゃんだけは俺に対する態度が変わらなかった。
離れてしまうことになって、どれだけ傍にいてくれる存在の重さを知ったことか。
出来るなら笑満ちゃんとは繋がっていたかったけど、自分の置かれた状況もわかっていた。
笑満ちゃんに迷惑をかけることになる。それは嫌だった。
黙っていなくなって、高校に入って再び出逢えた。
神宮や二宮さんたちに庇護されていた身として、今、自分の状況はあの頃とは全然違う。
……すきな子にだって、そうと言えない。
笑満ちゃんと自分の関係、神宮と咲桜の関係は違うけれど、事件に巻き込まれ、家族を亡くしている点では一緒だ。
……神宮の強さが羨ましい。
華取さんに睨まれたって、咲桜の恋人でいることが出来ている。
――だからこそ、憧れは強くなる。
すきな子にすきと、言うことが出来ない……。