朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
まだ、大事な子としか言えない。
誰かに掻っ攫われるようなことがあったらどうしよう。
絶対に平静でなんていられない。大事過ぎて。
……笑満ちゃんの家族にも、嫌われるのが怖い。
――いや、嫌われるどころか、今は疎まれているのかもしれない。
もし、逢ってしまえば。
笑満ちゃんを攫ってしまいそうだ。
世間とか、はばかるべきものもぶっ飛ばしてただ笑満ちゃんが――愛しい子が、ほしい。
やべ。……だからそれはナシだって。
思考の中で自分を戒める。
「笑満ちゃんの弁当美味そうだね」