朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「お前が教師にならなかったらなかったら、さっさと働くつもりだったって言っただろ」
「そうだが、お前もう勝手よくやってけるだろ? ここで。むしろ旧知の俺がいる方がこの先問題になるかもしれない」
俺の声も遙音の声も、マジメだった。
「それでもまだ困る。辞めるつったらお前、次は警察関係の仕事か、大学とかの研究機関だろ? だったら俺が進学するまで待て」
「今年度いっぱいで辞める気ではいるが?」
「はあ⁉ おま……もしかして、咲桜のためか?」
遙音が机に手をついて身を乗り出してくる。
「当然。俺が教師でなかったら、弊害は少し減るだろうからな」
「うっわ重症……まーそんだけお前が本気ってことか」