Black Romeo and Juliet
翌朝。


部屋に現れた彼に、


「病人の真横でご堪能?」


蔑んだ目を向け、吐き捨てる。




「堪能……っつうか、これで飯食ってるから」


そんなわたしに平然と答える彼が不可解。


「娼婦ならぬ……娼夫だから、俺」




彼の微笑みは、無駄に美しかった……。



娼夫……。




「なんで……」



蔑んだ目は、言い知れない哀れみに変わっていた。


理由はわからない……。


でも、



胸を張って言えるような職業じゃないことは間違いない。


「なんでそんな……」


職業を……。



「生きてく為?」


「……そうだな」


例え生きてく為だからって体を売るだなんて……、



落ちぶれた人間のすることだ。




「おまえ、名前は?」



「……ジュラ」


「親がつけたのか?」


「……そう」



それを聞いて、彼は特に何かを言うわけでもなく、



ただ、


「ジュラ」



と、小さく呟いた。



「体は?」



「……平気」


そう言って、ベッドから立ち上がろうとしたとき、



「……おまえ、男に抱かれたことある?」



彼は、わたしに囁いた。
< 5 / 11 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop