Black Romeo and Juliet
「どうせなら、死ぬ前に味わえよ」



そうだ……。



熱が下がったら死ぬってことになってたんだっけ?



「……お金なら無いわ」

「いらね。公私の区別くらいつけられる」



こう言って、グラスの水を一口含んだ彼は覆い被さり、渇いたわたしの唇を中まで潤した。


高い身長に反して、思ったより軽い彼の体重を受け止める……。


わたし、良いなんて言ってないのに……。

なんて口にするのは野暮なのだろうか。


かと言って、抵抗も拒否もするわけでもなく、手慣れた彼の動きに身を任せる。



はだけた肌に、多少の恥じらい。

それ以上に、生身の肌が触れ合うのが心地良いと感じてしまった……。

額に、頬に、首に、胸に、腹に……。

彼が丁寧に唇を落とす場所がじんわり熱く、綺麗な二重にとらえられてるわたしは、初めて男に酔った……。

「気分は?」

わたしの薄ピンクの唇を軽く甘噛みしながら尋ねる彼に、なんと答えただろう。


足りない左手に指を絡め、失くなった指に何度もキスした……。

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