Black Romeo and Juliet
「ん……」



次に目覚めたときには、



やっぱりわたしは柔らかいベッドに横たわったていた。



しかし、



ここがロイの部屋でないことはすぐにわかった。



「……起きたか?」


薬品の匂いが漂う部屋。



視界に現れたのは、白衣にメガネの男。


「……」



どこかの研究所にでも売り飛ばされた?



身構えたわたしは、白衣の男を睨みつけた。



「気分はどうだ?」


「……最悪」



どうせなら目覚めなければ良かった……。



「……左手の調子はどうだ?」


「左手……?」



男の声で、わたしは慌てて自分の左手を見た。


「これ……は?」



失くなったわたしの中指と人差し指が……在る。



正確には、ピンクゴールドの機械の義指となって生まれ変わってる……。


「ロイからだ」


機械で作られた義足や義手は、性能が高いことで有名。


しかし、高度な技術を要するため、莫大な費用がかかる。


一般人には到底手が出せるような代物じゃない……。



「自分の手術費用全部はたいてった。……あのバカが」


ポケットから取り出したタバコに火をつけながら、男は呟いた。
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