処刑バッヂ
相変わらず軽い文章だ。


だからこそ余計に鳥肌が立つ。


「これ……」


あたしは涼希望に晴康のスマホを手渡した。


涼希は文面を読み進めるにつれて険しい表情へと変化して行く。


「晴康、こんなのは嘘だ。お前は処刑バッヂを持っていない。だからきっと大丈夫だ!」


涼希の言葉に晴康は力なく左右に首を振った。


「お前らも、もう見ただろ? バッヂを持っていない方はメッセージを通じて妙な暗示をかけられた。その指示に従わないと、自分自身がなにをするかわからない……!」


晴康はそう言い、強く拳を握りしめた。


その様子を見ていると自我を失うこと以外にもなにかあるのかもしれないと、感じられた。


例えば、相手を捕まえても処刑できなかった場合、自殺するように仕向けられている可能性もある。
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