処刑バッヂ
命を握られているのは処刑バッヂを持っているあたしたちだけではないのだ。


「なにゴチャゴチャ言ってんだよ! 早く助けろよ!!」


「うるせぇな! ちょっと黙ってろよお前は!」


和馬の怒号に晴康が怒号で返す。


その声が体育館の中にコダマした。


「ちょっと、2人とも……」


オロオロしながらも2人の間に割って入ろうとした時だった。


晴康が微かな笑い声をあげたのを聞いて、あたしは動きを止めた。


その笑い声は勘違いではなく、徐々に大きくなってゆく。


「おい……こんな時になに笑ってんだよ」


涼希が晴康を睨み付けてそう言った。
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