処刑バッヂ
あの相手が和馬だったんだ!


「和馬がアズサと付き合ってたなんて、お前ら知らないだろ? こいつはわざと黙ってたんだ。最初からアズサのことを捨てるつもりだったから!」


晴康の声は徐々に大きくなり、怒りが込められているのが伝わって来た。


「それなら、どうして2人が付き合っていることをお前は知ってたんだ」


涼希が晴康へ向けてそう聞いた。


「わからないか? こいつはわざと俺に教えてきたんだよ!」


晴康は感情が高ぶってきたのか、目に涙が浮かんでいる。


自分の好きな子が友達に弄ばれたなんて、知った時には本当に苦しかっただろう。


和馬はそれを見て楽しんでいたのだ。


「なぁ、これは神様が俺にくれたチャンスだろ?」


晴康はそう言い、テーブルの上に無造作に置かれているハンマーを手に取った。


「晴康……落ち着いて……」


あたしの声は晴康には届かない。


「知らない! お前があの女を好きだったなんて、知らなかった!!」


和馬が叫ぶ。
< 109 / 229 >

この作品をシェア

pagetop