処刑バッヂ
しかし、それはもう言い訳にしかならなかった。


ハンマーを握りしめた晴康は笑顔さえ浮かべているのだ。


「今ここでこいつを殺しても、罪にはならない。正当防衛だ……」


ブツブツと呟きながら和馬へ近づいていく晴康。


「やめろ!」


涼希が包丁を握り直す。


晴康が和馬の頭上でハンマーを振り上げた。


「やめないと刺すぞ!」


涼希がそう叫んで晴康へ向けて走り出す。


しかし、そこには躊躇が感じられた。


麻央の時とは違い、本当に相手を刺すことなんてできない。


そのため涼希は間に合わなかった。

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