処刑バッヂ
その足音にひとまず安堵する。


アラーム音もすでに鳴りやんでいて、今は静寂に包まれていた。


「ねぇ、さっき晴康が言ってたよね」


「なにを?」


「和馬の事が嫌いだったって」


あたしの言葉に涼希が頷く気配がした。


「もしかして、バッヂが配られた人は、バッヂを持っていない人から恨まれてるのかな」


さっきの光景を見た時から、なんとなく感じていたことだった。


「まさか。俺たちは友達だぞ」


「そうだけど……。晴康と和馬みたいに、他人には見えない溝があるのかも」


憎い相手に復讐できるとなれば、このパーティーは晴康が言っていた通りチャンスになる。


犯人はそこまで考えて行動しているように感じられた。
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