処刑バッヂ
あたしは下唇を噛みしめた。


梨央はあたしに掴まってほしいのかもしれない。


あたしが処刑されれば、涼希は誰のものでもなくなるのだから……。


そう思っていた時だった。


不意に左足を掴まれて今度こそ悲鳴を上げてしまった。


這うようにしてベッドの下から出て、保健室のドアへと走る。


しかし、思うように立ち上がることすらできない。


モタモタしている間にあたしの足首を掴んだ人が目の前まで移動して来ていた。


……ツクシだ。


無表情なツクシがあたしの目の前に立ちはだかる。
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