処刑バッヂ
「あ……あ……やめっ……」


目に涙が滲み、自分でもなにが言いたいのか理解できない。


ただ頭の中はやけに冷静で、あぁ、死んでしまうのか。


そう感じていた。


「黙って」


ツクシがそう言ってあたしの口を手でふさいできた。


驚いたあたしの悲鳴はくぐもって外には聞こえない。


「あたしは大丈夫だから、ね?」


ツクシの言葉にあたしは瞬きをしてマジマジとツクシを見つめた。


言われてみれば、ツクシの目は黒くない。


「どうして……?」


あたしはツクシの手をそっとどかせてそう聞いた。
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