処刑バッヂ
スマホでトオルの体を照らし出す。


晴康に揺さぶられてトオルの体はグラグラと揺れている。


その様子に違和感を抱いた。


いくら眠っていても、普通はもう少し体がしっかりしているような気がする。


今のトオルはなんだか、体の芯が抜けきってしまっているように見えた。


「トオル……?」


疑問を感じたのか、麻央が晴康と同じようにしゃがみ込んでその体を仰向けにした。


その瞬間。


見開かれた眼球があたしたちを捕らえていた。


血走った目はなにも映しておらず、口からは舌が垂れ下がり、泡を吹いている。


「イヤァ!」


麻央が悲鳴をあげてトオルから遠ざかった事で、止まっていた時間が動きだした。


途端に騒がしくなる教室内。
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