処刑バッヂ
足を怪我してしまっているから、追いかけられたらきっと逃げ切ることはできないだろう。


人影がこちらへ向けてゆらりと体を動かし始めた。


あたしはゴクリと唾を飲みこむ。


今はアラーム音はしていない。


だから急に襲ってくることもないはずだ。


頭では理解していても、恐怖が体中を包み込んでいく。


「麻央なんでしょ?」


更にそう声をかけると、人影の歩調が少し早くなった。


あたしはスマホを取り出し、相手へ向けて光をかざした。
< 160 / 229 >

この作品をシェア

pagetop