処刑バッヂ
そこに浮かび上がって来たのは、眩しそうに目を細めている麻央の姿だった。


ホッとすると同時に、麻央の服や顔にこびりついている血痕に息を飲んだ。


体育館で3人の遺体を解体していたのだから、そうなっていることの予想はできていたはずだ。


でも、想像と実際に見るのではワケが違った。


麻央が近づくにつれて血なまぐさい臭いが漂ってくる。


あたしは思わず後ずさりをしていた。


ツクシの衣類に血の跡がなかったのは、やっぱり自我が残った状態だったからなのだろう。


体育館に死体などを運びこみながらも、ツクシは嫌だったのだろう。


そう考えると、胸がキュッと締め付けられた。
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