処刑バッヂ
なにが起こっているのかわからない、得体のしれない校内で待っているのは嫌だ。


「涼希も一緒に……」


そう言って手を握りしめるが、涼希はあたしの手をそっと離した。


「俺はここで待機する。大丈夫だから」


涼希は真剣な眼差しでそう言った。


「でも……」


そう言いかけた時、晴康の困惑した声が聞こえてきて視線を向けた。


晴康は玄関扉に手をかけているが、それが開かない様子だ。


「どうした?」


イライラした声色で太一が訊ね、晴康と一緒にドアを開けようとする。
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