処刑バッヂ
「大丈夫か?」


涼希が時々あたしにそう声をかけながら前を歩いて行く。


学校内はとても静かで、あたしと涼希以外に誰もいないように感じられる。


「梨央はどこへ行ったんだろう」


ふと思い出してそう呟いた。


これだけ歩き回っていても梨央と遭遇しない。


「もしかして、もう捕まったのかな」


「そんな事言うなよ」


涼希が真剣な口調でそう言うので、あたしの胸はまたざわついた。


涼希の気持ちが梨央へ向く事はないと思う。


けれど、擁護されるとどうしても心配になってしまう。


「……ごめん」
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