処刑バッヂ
あたしが一緒にいたら、涼希まで捕まってしまうかもしれない。


けれど、あたしがおとりになれば涼希がこの世界を壊す事ができるかもしれないんだ。


希望は捨てていない。


「ダメだ。俺は若菜と一緒にここから出る」


涼希はそう言い、あたしの手を握りしめた。


その手を振りほどこうとしたけれど、強く握りしめられた手は離れることがなかった。


仕方なく、そのまま手を繋いで体育館を目指す。


暗かった廊下はいつの間にか薄明りが差し込んできていて、窓の外がジワリと白くなりつつあるのがわかった。


もうすぐ陽が登る。


パーティーは終わる。
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