処刑バッヂ
扉の向こう側から雄たけびのような声が聞こえてきて、咄嗟に鍵をかける。


数歩後ずさりをして扉を見つめていると、その声は徐々に小さくなっていき、やがて聞こえなくなった。


きっと暗示が弱まったのだろう。


「……体育館の鍵はかかるんだな」


涼希が肩で呼吸をしながらそう言った。


「あ……」


そう言われればそうだ。


他の教室はどこも鍵がかからなかった。


それなのにここだけ鍵をかけることができるなんて、まるでおびき出されたような不穏な空気が舞い降りて来る。
< 215 / 229 >

この作品をシェア

pagetop