処刑バッヂ
そんなの、こっちが聞きたいことだった。


「まさか、これがトオルのサプライズ演出だったりして」


そう言ったのは晴康の後を追いかけて来た梨央だった。


「こんな手の込んだこと、する?」


あたしは眉間にシワを寄せてそう言った。


倒れているトオルを思い出しても、あれが演技だとは思えなかった。


「トオルのことだもん。きっとあたしたちを脅かして楽しんでるんだよ」


そう言う梨央の声は震えている。


必死で自分に言い聞かせているのかもしれない。


その時だった。


バタバタと足音が聞こえて来たかと思うと、他のみんなが集まって来た。


職員室へ行ってきたはずの2人の表情は強張っている。


「鍵がなかった。職員室の電話も通じない」


太一の言葉にあたしは目を見開いた。
< 22 / 229 >

この作品をシェア

pagetop