処刑バッヂ
でも、涼希は違う。


兄弟の多い涼希は少しでも家計を助けるために就職が決まっていた。


「俺と一緒にいられなくて寂しいのか?」


涼希はわざとそう質問し、あたしの顔を覗き込んでくる。


「まぁね。ずっと一緒にいたし、これから別々なんだなって思うと、少しは寂しいかな」


本気で寂しがっているところを悟られたくなくて、あたしは早口にそう言ってもうひと口ケーキを食べた。


スーパーで購入した、安っぽいスポンジとクリームの味がする。


けれど、涼希と一緒に食べればそれもとても美味しく感じられる。


「就職と進学で別れたって、地元にいるんだからそんなに心配するなって」


涼希はそう言い、あたしの肩を抱いて引き寄せた。


涼希は女の子のような綺麗な顔立ちをしながらも、その体は想像以上に逞しい。
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