処刑バッヂ
「出口がない状態じゃ、どうしようもない」


あたしの視線に気が付いた涼希が小さな声でそう言った。


「ここから出られないなら、従っても従わなくても、同じだ」


涼希の言葉に冷たい空気が流れて行くのを感じた。


涼希もどうすればいいのかわからないのだ。


いつもはみんなの意見をまとめてくれる涼希だけれど、今回ばかりはそんなに簡単ではない。


「……それなら、体育館へ行ってみようよ」


あたしは勇気を出してそう言った。


ここにいても事態は好転しない。


体育館へ行けば自体が悪化するかもしれないが、少なくとも前へ進むことはできる。


「犯人の言う通りに動くってことかよ」


和馬がこちらを睨んでくる。


「ここにいてもどうにもならないなら、あたしは動きたいと思う」


そう言って拳を握りしめた。
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