処刑バッヂ
それはまるでスローモーションのようだった。


太一がバッヂへ手を伸ばすが、その手は空中をかいただけだった。


バッチは1メートル以上太一から離れ、その瞬間に赤い閃光を放って爆発したのだ。


耳をつんざく音、暗闇に光る火花。


無意識のうちに身を縮めて目をきつく閉じていた。


次に静寂が訪れた時、爆発音の名残で耳鳴りがしている中、ビチャビチャという音が聞こえて来た。


水分を含んだ何かが降り注いでいる音。


身を縮めたまま目を開けると、そこに太一の姿はなかった。


太一の持っていた白いスマホが黒く変色し、そこかしこに赤い塊が散乱している。


それらが太一の肉体だと気が付いたとき、体育館内は悲鳴に包まれたのだった。
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