処刑バッヂ
目の前で太一が爆発した。


ついさっきまで一緒にいた太一が爆発したんだ。


その場面を直視していたワケじゃないけれど、飛び散った肉片であたしの服は濡れていた。


梨央の服も、みんなの服もだ。


これが太一の一部だったなんて、とても信じられなかった。


「あたしも死ぬの……?」


梨央の言葉にあたしはその体をきつく抱きしめる事しかできなかった。


どうして?


なんで?


そんな疑問ばかりが浮かんでくる。


「大丈夫……大丈夫……」


あたしは梨央の体を抱きしめながら呪文のように繰り返した。
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