処刑バッヂ
しかしそれも、ジッと見ていると同じ感覚でついたり消えたりを繰り返しているだけなのだ。


「ここは……どこ……?」


あたしはフェンスから離れてそう呟いた。


ここはあたしたちが知っている街じゃない。


そっくりだけど、作りものだ。


「ここにいても誰も助けてくれないってこと……?」


気が付いたツクシがそう言った。


きっと、そうなんだろう。


けれどとても肯定できなかった。


肯定してしまえば現実の受け入れることになる。


これは夢だ。


悪い夢だ。


足元がふらついて、その場に座り込んでしまう。


「若菜、大丈夫か?」


涼希が支えてくれるけれど、立ち上がることができない。
< 58 / 229 >

この作品をシェア

pagetop